全国でも数少ない高齢不妊専門の鍼灸整体院、美浜鍼生堂(みはましんせいどう)の院長、渡邊です。
移植周期に「肩こり」が悪影響を与えるなんて、少し意外に感じる方もいるかもしれません。肩こりは首や肩だけの問題ではなく、実は内膜の状態や着床環境にも関係します。血流・ホルモンの受け渡し・自律神経。そのすべてが肩周辺の緊張で滞りやすくなるからです。
肩こりが強いとき、自律神経は交感側に傾きやすく、末梢血流も抑制されます。
これは卵巣や子宮に届く血液量を下げ、着床の準備をするはずの黄体ホルモンが十分に届きにくい状態を作ります。ミトコンドリアが働くには酸素が必要で、血流はその運搬役です。肩の強張りはただの不快感ではなく、妊娠に向けた循環の入り口が絞られているサインでもあります。
実際に移植前に肩こりが強く、夜間の寝つきが悪いまま迎えた患者様は、基礎体温の二相性が不安定で、黄体期の維持が短いことがありました。
一方、肩甲骨の可動と深層筋の緊張を緩めていくと、首肩の重さと同時にお腹の温かさが増し、起床時の体温も安定するケースが多く見られます。
それは肩の筋緊張が取れることで呼吸が深くなり、副交感神経が優位に切り替わるからです。体は部分でなく全体で連動します。
移植前にできる工夫としては、肩を回すよりも、脇の下と肩甲骨の奥を緩める動きが効果的です。
肩だけを揉んでも改善が限定的になりやすく、根本は背面の血流が改善して初めて卵巣・子宮への循環に波及します。深い呼吸が入り、手足が自然に温まりだしたら、血流のルートが開いた合図です。
鍼灸施術ではこの深層を狙い、筋膜と交感神経の緊張を緩めることで、着床に必要な黄体環境を保つサポートができます。ただ肩こりを取るのではなく、その先にあるホルモンの伝達と血流バランスまで見ているのが特徴です。
妊娠までのプロセスには、内膜の厚さだけでは判断できない要素がいくつもあります。採卵・移植という大きな工程の中で、肩の緊張のような一見些細な変化も、ホルモンと血流の循環という意味では小さくありません。施術単体ではなく、病院でのタイミング、生活の整え方、心の負荷の処理。その全部を一緒に見ていくことで、遠回りせず前に進むための準備ができます。
妊娠を目指す時間を安心して進められる場所であること。この記事を読む中で、少しでもそう感じていただけたら嬉しく思います。
「肩こりはただの肩の問題ではない」
そう理解し始めた瞬間から、移植周期の質は変えられます。
千葉県唯一 高齢不妊専門 鍼灸整体院
美浜鍼生堂(みはましんせいどう)
院長 渡邊
参考文献
Kubo et al. Autonomic balance and uterine blood supply. J Reprod Med. 2019
Fang. Shoulder tension and reproductive circulation. Taiwan IVF Data Report. 2021