「余力を残してください。」 私は移植の日、患者さんを送り出すときに、ほぼ毎回この言葉をお伝えしています。
なぜ私はそこまで余力にこだわるのか
10年以上診療していて感じるのは、仕事を一生懸命頑張る方ほど、この言葉が必要だということです。 保育士さん、看護師さん、学校の先生、歯科衛生士さん、責任のある会社員の方。 皆さん本当によく頑張っています。 だからこそ、自分の身体が発している「少し疲れている」というサインを無意識のうちに後回しにしてしまう方が少なくありません。 私はその姿を、毎日の施術の中で何度も見てきました。
臨床で見えてきた共通点
面白いことに、移植前になると「ここまで頑張ってきたから、最後まで頑張らなきゃ」と考える方がとても多いです。 でも、私はその時ほど逆だと思っています。 最後の一週間くらいは、身体に頑張らせるのではなく、身体に任せる時間です。 これは10年以上、高齢不妊の方を診てきて、強く感じるようになったことです。
なぜ余力が必要だと考えるのか
人の身体は、まず自分自身が生きることを最優先します。 睡眠不足が続き、仕事の責任が重く、精神的な緊張が続いている状態では、身体は生命を守ることを優先しようとします。 もちろん、仕事をしていても妊娠される方はたくさんいらっしゃいますし、これだけで妊娠が決まるわけではありません。 ただ私は、移植後だけでも身体に「まだ余裕がありますよ」と感じてもらえるような生活を意識していただきたいと思っています。
頑張らないのではなく、配分を変える
私は「仕事を休みましょう」と言いたいわけではありません。 仕事を辞めましょうという話でもありません。 ただ、判定日までは少しだけ力の配分を変えてみてください。 普段100%で頑張っているなら、70〜80%くらいを目安にしてみる。 人にお願いできる仕事はお願いする。 後回しにできる仕事は後回しにする。 家事も、ご主人やご家族に頼れることは頼ってみる。 もちろん、仕事や生活に支障が出ない範囲で大丈夫です。 この時期だけは、身体と心に少し余白を作ってあげてください。 それが、私がお伝えしている「余力を残す」ということです。
移植前の鍼治療について
また、理想を言えば、移植当日は移植前に鍼治療を受けることをおすすめしています。 例えば先日も、12時から移植予定の患者さんがいらっしゃいました。 当院では午前10時から施術を行い、身体を整えてからクリニックへ送り出しました。 もちろん、それだけで結果が決まるわけではありません。 それでも私は、少しでも身体が本来の力を発揮しやすい状態で移植を迎えていただきたいという思いで、この時間を大切にしています。
私が送り出すときに思っていること
移植の日。 施術を終えて患者さんを送り出すとき、私は毎回同じような気持ちになります。 私ができることは、ここまでです。 ここから先は、患者さん自身の身体が持っている力を信じる時間です。 だから最後に、私はいつもこうお伝えしています。 「判定日までは、余力を残してください。」 何か特別なことを頑張る期間ではありません。 身体と心に少し余白を残し、自分自身を大切に過ごしてください。 これが、10年以上患者さんを送り出し続けてきた今も変わらず、私が一番伝えたいことです。
千葉市にある高齢不妊専門 鍼灸整体院
美浜鍼生堂(みはましんせいどう)
院長 渡邊